「近ごろ、いつも目が疲れている感じがします。
スマホの影響などもあるのでしょうか?」

「PCやスマホを長時間使いがちな現代、目のトラブルを避けるためには生活習慣などの見直しも大切です。」


酒田久美先生

たまプラーザ南口眼科院長。日本眼科学会、日本網膜硝子体学会、日本糖尿病学会所属。東京女子医科大学卒業後、内科医として研修・勤務したのち、眼科に転向。大学病院とクリニック勤務を通じて豊富な臨床・研究・眼科手術の経験を得る。2015年5月に「たまプラーザ南口眼科」を開院。

スマホやパソコンの過度な使用がもたらすVDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)

──若い人の「スマホ老眼」といわれる症状を最近耳にします。

手元の文字が見づらくなる「老眼」の症状は、通常は40代以降の年齢の方に自覚症状があらわれますが、近年では30代などでも自覚症状がみられることがあります。現代のライフスタイルや仕事の形態が変化したことにより、スマホやPCなど近くのものを見る時間が増しています。それにより、ピントを合わせる時にはたらく、目の中の水晶体の周囲の筋肉(毛様体筋)が過度に使いっぱなしの状況になってしまいます。目の中の筋肉疲労ですね。筋肉が疲労した目は、ピントが合うまで、時間がかかってしまうようになってしまいます。これが「スマホ老眼」といわれる症状です。実際、30代でも自覚症状が強い方には遠近両用眼鏡やコンタクトレンズの使用をおすすめするケースも増えているんですよ。

──スマホやパソコンなどの使用によるトラブルは、他にもあるのですか?

これらスマホやパソコンなどのディスプレイを長時間見てしまうことによる眼精疲労を総称して、VDT症候群といいます。目への症状としては、眼痛、目が疲れる、まぶしい、目が乾く、見えにくい、かすれ目などがあります。

──目が乾く「ドライアイ」なども、VDT症候群なのでしょうか?

ドライアイは女性に多い症状です。原因としては体質的なこと、加齢により涙が出にくくなるケース、そして環境要因などがあります。皮膚と同じで湿度が高いときは目も潤いを増しますが、冬場やエアコンを使用する時期は乾燥を招くことも多く、これからの季節は注意が必要です。
また、PCなどを近くで集中的に見ることでまばたきの回数が減ってしまい、涙が蒸発してしまうことが原因になるケースもあり、VDT症候群としての側面もあります。

眼精疲労は、目の不調からはじまり、頭痛や吐き気、腰や腕の痛みやしびれなど症状が全身に発展することもあり、イライラ感など心のトラブルにまでつながることもあるので、注意が必要です。

目の健康を保つためには、生活習慣の見直しを

──こういった症状を防ぐためにどんなことを心がけるべきでしょうか?

やはり、適度に目を休ませることが一番大切です。たとえば1時間パソコンの前で作業をしたら、10分は休憩し、遠くを眺めたりすること。また、スマホを利用するときは、できるだけ目と画面の距離を保つようにして頂くとよいかと思います。
ドライアイを防ぐためには、意識的にまばたきを増やすことも有効です。

また、夜間のスマホやPCの利用はブルーライトの影響により体内時計を狂わせてしまい、寝つきが悪くなるなどの体調不良を招いてしまうことも多いのです。ブルーライトカットの眼鏡を使用するとか、少なくとも寝る2~3時間前はディスプレイを見ないようにできるといいですね。

──クリニックを訪ねた患者さんにはどのような処置やアドバイスを行うのですか?

クリニックの患者さんへの対応としては、上記のような生活習慣のアドバイスを差し上げるほかにも、毛様体筋の緊張を和らげるものや涙の不足を補う目薬を処方したりします。
また、目の不調は、眼鏡やコンタクトの過矯正が原因となっていることも多いのです。ですので、まずはクリニックで検眼をして、ほどよい矯正にするようアドバイスさせて頂くこともあります。
目も肌と同じように細胞が劣化しますので、エイジングケアという観点も必要です。紫外線をあびることで細胞の劣化を招きますから、夏は特にサングラスや帽子などでUVケアを心がけてください。抗酸化作用のある食材やサプリメントなどを摂ることも、よいでしょう。

メイクや睫毛エクステのトラブルも増加

──アイメイクなどからくる目のトラブルもあるのですか?

睫毛エクステなどの施術トラブルは一時期ずいぶんニュースにもなりましたが、厚生労働省の指導により許可が厳格化され、かなり減ってはきていますね。それでも結膜炎をおこしたり、角膜が傷ついてしまったなどで、クリニックを訪ねられるケースはあります。

多くの原因はグルー(接着剤)が目に入ったことによるトラブルですので、そういった場合は一旦エクステを外してもらって治療を行います。やはり施術を受けるのであれば、ちゃんと免許がありトラブルにすぐに対応できるサロンをお選び頂きたいと思います。

また、アイメイクに関しては、アイラインなどを粘膜に付着させないこと。そして睫毛エクステをしている場合も含め、しっかりアイメイクを洗浄し、清潔を保つことが何よりも大切です。まつげ用のアイシャンプーなどもありますし、ベビーソープやベビーシャンプーなどで洗浄するのもひとつの方法です。

ちょっとした目の不調が、将来的に重篤な症状であらわれることもありますし、目に不具合があることにより、全身にトラブルがおこることもあります。少しの気になる症状でも、気軽にクリニックを訪れて医師のアドバイスを受けて頂きたいと思います。