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「同じ場所に繰り返してできる『大人ニキビ』に悩まされています。
原因と予防方法を教えてください」

「思春期のニキビと大人ニキビは、でき方が違います。洗顔方法と生活習慣を見直しましょう。」

洗顔方法と生活習慣を見直し

佐藤薫先生プロフィール

佐藤 薫先生

かおるクリニック院長。日本形成外科学会認定専門医。
昭和大学医学部卒業の後、昭和大学藤が丘病院形成外科・麻酔科、昭和大学形成外科、埼玉県立小児医療センター、虎ノ門病院形成外科などを経て、自身のクリニックを開業。経験に基づく知識や技術をもとに最新医療を取り入れ、形成外科・皮膚科・美容皮膚科医としてひとりひとりの肌の悩みに応じた治療法を提案。スキンケアの指導にも力を入れている。

角質が硬くなり、毛穴の詰まりが起きてできるのが大人ニキビ。原因はひとつではありません。

大人ニキビ

──10代の思春期にできるニキビと、「大人ニキビ」はどう違うのでしょうか?

「大人ニキビ」という明確な診断名はじつはないのですが、20代前半以降にできるニキビをこう呼んでいます。思春期のニキビ(若年性ニキビ)は頬全体や額にでき、ぷよぷよして膿が出やすいのに対し、大人になってからのニキビは額や口まわり、あごや首などにポツリポツリとできて、硬くて芯があるような傾向があります。加齢により、でき方にも違いが出てきます。思春期には過剰な皮脂が排出しきれず毛穴をふさぎ、そこに細菌が繁殖してニキビになります。大人の場合、角質が硬くなることにより毛穴が硬く狭くなり、毛穴が詰まってできることが多いようです。硬く芯を持っているように感じるのはこのためです。

──額、鼻まわり、あごなど同じ場所に繰り返してできる気がします。

頬に比べザラザラして毛穴が目立つことからも分かるように、顔の中心の「Iゾーン」と呼ばれる部分は、もともと皮脂の分泌が盛んなところ。その中のどれかの毛穴が詰まりやすい性質を持ってしまうためだと思われます。

──毛穴が詰まりやすくなる原因を教えてください。体質も関係ありますか?

原因はひとつではありません。以下のような要因が重なってできるのが大人ニキビです。

  • ・皮脂の過剰分泌
  • ・生理前などホルモンバランスの乱れ
  • ・不十分な洗顔が原因で化粧品や古い角質が肌に残る
  • ・毛髪が触れたり、ほおづえをつくことによる刺激
  • ・栄養のアンバランス、睡眠不足など生活習慣の乱れ
  • ・胃の不調
  • ・ストレス

これらが角質の硬化を招き、ニキビをできやすくします。体質に関しては、男性ホルモンの働きが強まると皮脂の分泌量が増えますので、その人のホルモンバランスが影響することはあるでしょう。

──チョコレートなどの甘いものはニキビの原因になりますか?

「チョコレートを食べるとニキビができる」といわれることがありますが、チョコレートの原料であるカカオが悪いわけではありません。配合されている砂糖などの糖分の摂り過ぎにより皮脂が過剰に分泌するのが原因です。チョコレートに限らず、糖質の摂り過ぎには注意が必要です。

毛穴の詰まりを防ぐには洗顔が大切。大人ニキビができにくくなる生活習慣を心掛ける

大人ニキビを予防する生活習慣

──大人ニキビを予防するにはどうすればいいですか?

まず、丁寧な洗顔を心掛けてください。大人ニキビは肌のターンオーバー(生まれ変わり)がスムーズにいかなくなり、角質が厚くなって毛穴の詰まりを起こすことが原因。メイク汚れの残りも影響します。これを防ぐには、朝夕の泡立て洗顔を徹底してください。ターバンなどで髪の毛をまとめ、生え際、あごまできちんと洗いましょう。これだけで1週間もするとお肌の状態が変わってきます。洗顔後は保湿も忘れないで。角質は厚すぎても薄すぎてもダメなんです。お肌を柔らかく、健康な角質を保つことがニキビ予防に繋がります。

──ついコンビニ食に頼ってしまい、栄養バランスが心配です。

コンビニ食でも、ちゃんと選べば大丈夫。麺類、丼物など1点だけでなく、野菜サラダなど食物繊維やビタミン、ミネラル類が摂れるメニューを組み合わせるようにします。ただし、サラダだけではダメ。強い肌を作るたんぱく質をきちんと摂ることが大切です。ゆで卵、チーズ、ヨーグルトや豆腐などの大豆製品を積極的に食べるといいですね。ヨーグルトの中ではギリシャヨーグルトがタンパク質をたくさん含みます。ビタミンB2、B6も皮脂腺の働きを整えるので、サプリメントで補うのもいいでしょう。先ほども言いましたが、甘いものの摂り過ぎには注意してくださいね。

──お化粧はやっぱりダメですか? 生理前にできるニキビ対策も教えてください。

働く女性に「お化粧はしないで」というのは酷ですよね。パウダーファンデーションを使い、肌を押さえるように重ね付けするといいですよ。この時、パフなどでこすらないのがポイントです。リキッドやクリーム系のファンデーションは肌の凹凸部分に入り込み、落ちにくいので避けましょう。
生理前のニキビに関しては、女性の宿命のようなもの。生理が近づくと皮脂の分泌を盛んにするホルモンが増えることが影響します。「月に1回だから仕方ないわ」と割り切ってしまうほうがストレスにならずいいのではないでしょうか。

ニキビは病気と認識し、繰り返す場合は皮膚科医の治療を受ける

皮膚科医の治療

──そのほかの生活習慣で気を付けることはありますか?

洗顔、栄養バランスの他には、睡眠をよく取ること、ストレスをためないこと。できてしまったニキビを髪の毛で隠すのは、悪化させる原因になるのでよくありません。髪の毛や、肌に触れる寝具などを清潔に保つことも大切です。

──お医者様にかかるタイミングと、治療方法を教えてください。

皮膚科ではまず診断後、洗顔指導を行い、症状によって抗生物質やビタミン剤を処方します。さらに、ケミカルピーリング、光の治療などを行うこともあります。また背中ニキビと間違われやすいのが、マラセチア菌という真菌が原因で起こる皮膚炎です。ニキビとの判別が難しく治療方法も異なりますので、専門医の診断による適切な治療が必要です。

たかがニキビと軽く考えてはいけません。1つでもできたら病気です。ほおっておくと何度も繰り返し、瘢痕が残ることもあります。専門医に相談し、正しい治療を受けるようにしてください。