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「女性と男性で睡眠に違いがありますか?
働く女性の睡眠ケアについても知りたいです。」

「女性の肌や髪は、良質な睡眠で作られます。女性特有のホルモンバランスも睡眠に大きく影響します」

遠藤拓郎先生プロフィール

遠藤拓郎先生

スリープクリニック理事長、慶応義塾大学医学部 睡眠医学研究寄附講座 特任教授。医学博士。東京慈恵会医科大学卒業。同大学、北海道大学勤務を経てスタンフォード大学睡眠障害センターなど海外で研修を重ねる。帰国後はいくつかの大学の助手及び講師を経て2005年、スリープクリニック調布を開院。現在は医療法人社団スリープクリニック理事長を務め、調布・銀座・青山・札幌各クリニックで診療に携わる。「女性のための睡眠バイブル」はじめ睡眠関連の著書が多数あるほか、快眠グッズ開発も手掛ける、睡眠医療の世界的権威。

黄体ホルモン、甲状腺ホルモンなど、女性特有のホルモンが睡眠を左右する

──女性と男性で睡眠に違いがありますか?また、女性ならではの睡眠トラブルとは?

男性と女性の違いは、なんといっても女性ホルモン。思春期を迎え女性ホルモンの分泌が急激に高まって月経が始まると、月経前に睡眠の質の低下を感じる人が少なくありません。また、女性のライフスタイル上、身だしなみに男性より時間がかかることや、社会人になったり結婚すると家事、育児と仕事の両立のため睡眠を削らざるを得ないこともあります。

さらに、年齢が上がり閉経が近づくと、女性ホルモンの分泌リズムが変調をきたし、寝つきが悪くなったりします。このように女性の一生は、不眠や眠気など睡眠トラブルとの戦いといえるかもしれません。

寝つきが悪い女性イメージ

──月経前に昼間に眠気を催したり、眠りが浅くなるのはなぜでしょうか?

眠りにつくときには体温の低化が起こっています。通常、昼間の活動モードのときは体温が最も高く、夜になると1度ぐらい下がって、この体温低下こそが健やかな眠りに導いてくれるのです。ところが、生理前の黄体期は体温が高い状態が続くため、体温低下が生まれにくくなり、眠りが浅くなってしまいがちです。そのことにより、日中の眠気やだるさにもつながってしまいます。

一方、黄体期であっても、昼間にしっかり活動したり適度な運動をして体温をより上げることで体温低下が生まれ、質の良い睡眠につなげることは可能になります。

また、PMS(月経前症候群)や生理痛の多くは、血行が悪くなって体内に水分をため込んでむくむことによって起こりがちです。これを解消するためにも、適度に体を動かすことは効果的です。血行が良くなり、余分な水分が排出されるとむくみが取れ、さらに代謝が改善され、肌や内臓の調子も整うことになります。

運動している女性イメージ

質の良い眠りの間に、細胞が修復され、美肌や美髪をつくり出す

──睡眠の質の良し悪しが、肌や身体にどのような影響を及ぼすのか教えてください。

発育期の子どもの場合、睡眠は体を作るためのもの。眠っている間に出る「成長ホルモン」が骨や筋肉の発達に欠かせないことはご存知でしょう。この「成長ホルモン」は大人になってからも出ていて、特に深い眠りの状態であるノンレム睡眠中に大量に分泌されます。

皮膚や髪の毛は毎日少しずつ入れ替わりますが、古くなった皮膚細胞や内臓組織を修復し、再生を促すのが、まさにこの「成長ホルモン」なのです。皮膚の細胞が新しくなれば肌がきれいになり、内臓組織が修復されれば健康に繋がります。毎日使っているスキンケア用品がお肌の外から美を保つものだとすれば、睡眠は体の内部から毎日、肌や髪の毛の基礎を作っているといえます。

当然、夜更かししたり睡眠が足りなかったりすると化粧ノリが悪くなったり肌荒れしてしまうことにつながります。

この、美容にとって大切な「成長ホルモン」は、睡眠の前半に出ることが分かっています。しかも、深い睡眠の時にたくさん出るので、寝つきのよさは美肌にも直結します。これをコントロールするのが、「メラトニン」というホルモンで、夜9時くらいから出始め夜中に最も高く、徐々に低くなっていきます。朝が近づくにつれて今度は「コルチゾール」というエネルギーをつくり出すホルモンの働きで体温が上がり、スッキリとした目覚めに繋がります。

髪の毛をケアする女性イメージ

──現代人は睡眠時間が足りないと言われています。そもそもどのくらい寝ればいいのでしょう?男女差はありますか?

私が日本人の成人男女3万人以上を対象に行った調査では、男性の平均睡眠時間は6時間、女性の場合6時間30分です。これに肥満度の目安になるBMI値を当てはめてみると、男性では7時間15分、女性では7時間寝ている人が最も低い、つまりスリムだということがわかりました。この数字から見ると、女性はあと平均30分くらい長く寝ると、ダイエット効果が期待できるかもしれないですね。

ただし、睡眠時間は長ければいいというものではありません。必要以上に長く眠ると睡眠の質が低下し、眠ったという満足感が得られにくくなります。昼間、しっかり活動して適度に疲れ、夜はばったり眠るのが理想的です。

睡眠中の女性イメージ

朝は光を浴びて、昼間は活動、夜は体を温めて休める。「体内時計」を整えることが良い睡眠に繋がる

──睡眠の良いリズムを作るために、心掛けたいことを教えてください。

夜、きちんと「メラトニン」が分泌するためには、「体内時計」を整えることが大切です。朝はカーテンを開けて光を浴び、朝食をしっかり食べて体全体を活動モードにすること。熱めのシャワーも効果があります。昼間はできるだけ活動的に過ごせば体温が上がり、適度な疲労になって夜になると自然に眠くなるはずです。

また、運動をするなら夕方以降がおすすめです。朝の場合、運動が終わって体温が下がったタイミングで眠気を催してしまうからです。体温差を作るために、辛い食べものを利用する方法もあります。例えば、カプサイシン(唐辛子)入りの辛いものを夕食に食べると一時的に体温が上がり、下がってくる2~3時間後に眠くなります。

朝運動する女性イメージ

──体温差をつくること、体内時計を整えることの大切さがよく分かりました。

“早寝、早起き”という言葉がありますが、本当は一日のスタートを重視して、“早起き、早寝”のリズムを作ることが大切なのです。はじめはたとえ眠くても毎朝、決まった時間に起きて明るい光を浴び、活動をする習慣をつけると「体内時計」が正常に整ってくるでしょう。週末や休日に夜更かししないことも心掛けてください。

働く女性は仕事以外にも家庭のことや、女性特有の生理周期による体調変化でストレスを感じることが少なくありません。頑張り過ぎず、心と体を大切にし睡眠のリズムを整えるようにしてください。