──そもそも「冷え症」とはどういう状態をいうのでしょう? また、「冷え症」になる原因と、女性に多い理由も教えてください。
最もわかりやすい冷えの症状といえば、手足が冷たくなることですが、実は肩こり、腰痛のほか、頭痛や、便秘・下痢といった胃腸の不調、月経異常や不妊なども冷えに起因することが多いのです。これらを私は“隠れ冷え症”と呼んでいます。実は西洋医学に「冷え症」という病名はありません。そのため、周囲に理解されにくく悩みを抱え込む方が多いのですが、一方で、東洋医学では古代からさまざまな病気の兆候として重要視されてきました。
冷えの原因は、体内でエネルギーの生産がきちんとできていないこと。すると代謝が悪くなり、血流が低下します。血液は栄養素とともに酸素やホルモンなどを細胞に届ける働きをしていますから、血液が体の隅々まで届けられなくなると細胞が栄養失調に陥ります。これが冷えの状態です。血流の低下により細胞にたまった老廃物も排出されなくなり、むくみやコリ、痛みなど、さまざまな身体の不調を引き起こすのです。女性に冷え症が多いのは、ホルモンバランスなどのほか、筋肉量も関係しています。人体でエネルギー(熱)を産生するミトコンドリアが多い場所のひとつが筋肉で、男性に比べて女性は筋肉量が少ないため、冷えが起こりやすいのです。また、体内の脂肪が燃えにくくなり、太りやすくなることも。
さらに、冷えはメンタル面に影響を及ぼすこともあります。たとえば、「やる気が出ない」のは、血流の低下で脳に十分なエネルギーが供給されないため。重症化すると、うつ病に近い状態になることもあるんですよ。