──オフィスでのパソコン業務に加え、プライベートではスマホが手放せず、肩こりが辛くなる一方です。
スマホを操作するときは、頭だけ傾けて手元を見ることが多くありませんか。成人の頭の重さは約6kg。ボウリングのボールをイメージするとわかりやすいでしょう。これだけ重いものを首だけで支えると、負荷がかかって当然ですよね。肩こりは、首の後ろから肩甲骨の周りを覆っている僧帽筋に筋疲労が蓄積して起こります。首には全身に血液を送る血管や、大切な神経が通っています。この部分が圧迫されて血行が悪くなると老廃物が蓄積してこりや痛みなどの不快感を引き起こすのです。また、腕を動かすときには首や肩の筋肉も使うので、この周囲にはとても疲労がたまりやすいのです。
背筋を伸ばしたまま少し顎を引き、膝と太ももの中間くらいの位置にスマホを置く感じで見るようにすると、首から肩への負担がずいぶん違ってきますよ。パソコン操作やデスクワークのときも、首だけ動かすのではなく、おなかの下あたりを意識して骨盤を立てるイメージで上半身を前傾させて見るようにしてみてください。
──肩こりにも種類がありますか?
首こり、肩こり、肩甲骨の周りがこるなど、人によって部位が異なります。また、こって硬くなっているけれど痛みを感じない人、軽く押すだけで痛みを感じる人、可動域が狭くなって首が回らないなどの症状も。痛みやしびれを感じる場合は、単なる筋疲労によるこりではなく、椎間板ヘルニアなど神経に異常がある場合が考えられるので、原因を見つけて治療することが大切です。
──夏より冬のほうが肩こりが悪化する気がします。
体が冷えると血行が悪くなりますし、肩に力が入ることが多いので、筋肉の緊張が高まり肩こりが悪化します。一方、エアコンの効きすぎた室内で過ごすことが多いと、夏場のほうが冷えて辛いという方は少なくありません。首周りの露出度が高いファッションも冷えの原因になります。冷えによる肩こりが気になる場合、首・肩だけでなく、手首、足首といった「首」が付く部位を冷やさないようにするといいでしょう。私自身、クリニックではレッグウォーマーを愛用していますが、これだけでも血行がずいぶん改善されたと感じています。