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「寒い日は特に、肩こりが悪化する気がします。
気候と関係あるの?」

さまざまな原因で起こる肩こり。
侮ってはいけません

中村格子先生

Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。整形外科医・医学博士。横浜市立大学卒業後、同大学付属病院整形外科入局。自治医科大学整形外科助教、国立スポーツ科学センター医学研究部研究員などを経て、2014年、代官山にDr.KAKUKOスポーツクリニックを開設。「健康であることは美しい」をコンセプトに、自らもエクササイズを実践しながら、最先端の整形外科治療ときめ細やかなリハビリテーションを融合させた診療を行う。クリニックでは、スポーツトレーナー、理学療法士といった専門家と連携し、肩こり・腰痛解消のためのエクササイズ講座を開講。著書、TV出演も多数。

スマホにパソコンが原因?辛い肩こりは逃れられない現代病

──オフィスでのパソコン業務に加え、プライベートではスマホが手放せず、肩こりが辛くなる一方です。

スマホを操作するときは、頭だけ傾けて手元を見ることが多くありませんか。成人の頭の重さは約6kg。ボウリングのボールをイメージするとわかりやすいでしょう。これだけ重いものを首だけで支えると、負荷がかかって当然ですよね。肩こりは、首の後ろから肩甲骨の周りを覆っている僧帽筋に筋疲労が蓄積して起こります。首には全身に血液を送る血管や、大切な神経が通っています。この部分が圧迫されて血行が悪くなると老廃物が蓄積してこりや痛みなどの不快感を引き起こすのです。また、腕を動かすときには首や肩の筋肉も使うので、この周囲にはとても疲労がたまりやすいのです。
背筋を伸ばしたまま少し顎を引き、膝と太ももの中間くらいの位置にスマホを置く感じで見るようにすると、首から肩への負担がずいぶん違ってきますよ。パソコン操作やデスクワークのときも、首だけ動かすのではなく、おなかの下あたりを意識して骨盤を立てるイメージで上半身を前傾させて見るようにしてみてください。

──肩こりにも種類がありますか?

首こり、肩こり、肩甲骨の周りがこるなど、人によって部位が異なります。また、こって硬くなっているけれど痛みを感じない人、軽く押すだけで痛みを感じる人、可動域が狭くなって首が回らないなどの症状も。痛みやしびれを感じる場合は、単なる筋疲労によるこりではなく、椎間板ヘルニアなど神経に異常がある場合が考えられるので、原因を見つけて治療することが大切です。

──夏より冬のほうが肩こりが悪化する気がします。

体が冷えると血行が悪くなりますし、肩に力が入ることが多いので、筋肉の緊張が高まり肩こりが悪化します。一方、エアコンの効きすぎた室内で過ごすことが多いと、夏場のほうが冷えて辛いという方は少なくありません。首周りの露出度が高いファッションも冷えの原因になります。冷えによる肩こりが気になる場合、首・肩だけでなく、手首、足首といった「首」が付く部位を冷やさないようにするといいでしょう。私自身、クリニックではレッグウォーマーを愛用していますが、これだけでも血行がずいぶん改善されたと感じています。

体型やクセも、肩こりを引き起こす原因になります。

──肩こりになりやすい体型や体質はあるのですか?

肩こりや腰痛のお悩みで私のクリニックにいらっしゃる患者さんを診断していて感じるのは、体幹が弱い方が多いということ。スマホやパソコン操作だけでなく、筋肉量不足も原因のひとつです。腹筋と背筋が足りないと、骨盤を立てた姿勢を保つことが難しくなります。すると、頭の位置を正しく保てなくて首に負荷がかかり、肩こりを引き起こすことに。猫背の人は肩がこりやすいといわれるのは、背中が丸まると頭の重みを支えるために首と肩の筋肉に負荷がかかってしまうためです。首と肩、背中と腰は繋がっていますから、肩こりと腰痛はセットと考えていいでしょう。
意外に知られていないのですが、食いしばりや歯ぎしりも影響します。ものを噛むときに使う筋肉は首の後ろの上位頸椎という部分に繋がっていて、ここが硬くなると首の血行が悪くなるのです。また、緊張やストレスを感じたときも歯を食いしばることが多いですよね。最近は、歯の摩耗を防ぐためにマウスピースを使う方が増えていますが、食いしばりそのものの解決にはつながらないことがあります。日常では意識して上下の奥歯を離すようにしてください。肩甲骨を寄せたり、頬骨の下にある咬筋(こうきん)を指でほぐしたり、耳の後ろの後頭部にある「ぼんのくぼ」の下あたりを親指で押してあげると、歯が緩むのがわかります。歯ぎしりが気になる人は、寝る前に口を開けてリラックスすることも心がけてください。

日常生活に取り入れやすいエクササイズや、肩こり回避ノウハウとは?

──デスクワークの合間に簡単にできるストレッチやエクササイズがあれば教えてください。

まずは、首と肩に負担がかかりにくい姿勢が大切です。座るときは椅子に腰かけて骨盤を立て、立つときは足のまん中に上半身をのせ、その姿勢で頭を体の中心に置きます。頭を前後左右に動かし、深呼吸した時に胸郭がラクに開いて、空気がたくさん入ってくる位置を探してみるといいでしょう。最初は腹筋や背筋が気になる感じがしますが、慣れるとこの姿勢のほうがラクであることがわかってくるはずです。
デスクワーク、パソコン操作などで同じ姿勢が続くときには1時間に1回程度、肩甲骨を上下と前後に動かすことを心がけましょう。上下の場合、両手を伸ばして高く上げ、肩甲骨を背中のまん中に寄せるように引き下ろします。前後に動かすときは、胸の前でボールを抱えるようにして背中を丸めながら息を吸って背中に空気を入れるような気持ちで背中を拡げます。ゆっくり吐きながら元の姿勢に戻りつぎに息を吸いながら胸をそらせ両方の脇を締めながら肘を後ろに引きます。肩甲骨を意識して動かすと、自然と腰も伸びてきますよ。血行改善のためには、入浴習慣も大切ですね。40℃くらいのぬるめのお湯に20分くらいゆったり浸かるようにしてみてください。

──最後に、肩こりが大きな病気に繋がることがありますか?

慢性的な不調が急激な痛みに変わった時は、注意が必要です。首から背中、腰にかけての劇的な痛みは、胸部大動脈瘤など、命に係わる重大な病気が原因であることも。同じ部位の痛みが3カ月以上続くときも、ほかの病気の可能性があります。
肩こりは仕方ないとあきらめている人も少なくないのですが、根本的に治すためには医師とともに理学療法士がいるクリニックで診てもらい、きちんと原因を見つけて治療することをおすすめします。

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