【おトクなサービスのご案内】まとめ買いが10%OFF&定期お届け便が最大30%OFF

「肌のターンオーバーとは?
乱れる原因や改善ケアについて」

佐藤薫先生プロフィール

佐藤 薫先生

かおるクリニック院長。日本形成外科学会認定専門医。
昭和大学医学部卒業の後、昭和大学藤が丘病院形成外科・麻酔科、昭和大学形成外科、埼玉県立小児医療センター、虎の門病院形成外科などを経て、自身のクリニックを開業。経験に基づく知識や技術をもとに最新医療を取り入れ、美容皮膚科・形成外科医としてひとりひとりの肌の悩みに応じた治療法を提案。スキンケアの指導にも力を入れている。

美肌を育てるにはターンオーバーを意識することが大切です。お肌の生まれ変わりに大切なターンオーバーを整えるためにどのようなケアを行えばよいのでしょうか。

今回はお肌の新陳代謝であるターンオーバーの仕組みとターンオーバーを促進して健康な美肌を手に入れる方法について解説していきます。

そもそも「ターンオーバー」って?

ターンオーバーが乱れると、肌に悪いことはなんとなくイメージできても、具体的に肌で何が起こっているのか、そのメカニズムを知っている方は多くないでしょう。

──ターンオーバー=肌の代謝サイクル

ターンオーバーとは、新しい皮膚が生まれて古い皮膚がはがれ落ちるサイクルのことです。ターンオーバーを日本語にわかりやすく置き換えると肌の新陳代謝を指します。皮膚は1枚に見えて、実は層状の構造をしています。ターンオーバーについて理解を深めるために、まずは新しい皮膚が作られる過程について説明します。

皮膚は内側から「皮下組織」「真皮」「表皮」の3つに大きく分類されます。このうちターンオーバーに関係するのは「表皮」の部分です。表皮はさらに内側から「基底層(きていそう)」「有棘層(ゆうきょくそう)」「顆粒層(かりゅうそう)」「角質層(かくしつそう)」に分類されます。角質層は、角質細胞や角層とも呼ばれます。表皮を形成するケラチノサイト(角化細胞)が基底層で作られ、皮膚は新しくなります。

基底層でケラチノサイトが作られると、前からあった古いケラチノサイトはどんどん上へ上へと押し出されて角質層に移動します。そして最後は、死化したケラチノサイトが垢となってはがれ落ちます。ケラチノサイトが基底層で生まれ、古い細胞が垢として剥がれ落ちるこの流れをターンオーバーと呼びます。

ターンオーバーのイメージ図

──ターンオーバーが「乱れる」って?

ターンオーバーが乱れるということは、つまり、新しい皮膚が生まれ古い皮膚がはがれ落ちる流れがうまくいかなくなることを指します。具体的には、新しい皮膚が作られたのに、古い皮膚がなかなかはがれ落ちなかったり、まだ新しい皮膚が作られていないのに古い皮膚がはがれ落ちたりすることを指します。

ターンオーバーには周期があり、20代の健康な方であれば作られた皮膚がはがれ落ちるまで約28日かかると言われています。しかし加齢によってターンオーバーにかかる日数は伸びていきます。30~40代だと約45日ほどの日数が必要になります。一般にターンオーバーは28日と言われることが多いですが、実は20代と30~40代ではこのようにまったく異なります。ターンオーバーの速度が低下すると、なかなか皮膚が生まれ変わらないので、シミやそばかすができやすくなります。ちなみに、新陳代謝という面ではターンオーバーは肌以外にも筋肉や赤血球でも起こっています。日数はそれぞれ異なり、筋肉は約180日、赤血球は約120日と言われています。

──ターンオーバーの乱れは色素沈着やニキビ跡の原因に

ターンオーバーが乱れると、どのような問題が起こるのでしょうか。シミやニキビ跡の原因となるメラニンも、ターンオーバーが遅くなると排出されずに、古い細胞とともに蓄積されます。これが繰り返されると、色素沈着が起こり、シミやニキビ跡の原因になります。

はがれ落ちるべき皮膚が角質層に蓄積することで、くすみの原因となります。ターンオーバーが乱れることで肌の透明感も失われます。角質層が厚い肌は光を反射しづらく、老けた印象に繋がっていきます。

ターンオーバーの乱れにより肌が炎症する図

ターンオーバーが乱れる原因

ターンオーバーが遅くなる原因は老化だけではありません。ターンオーバーの乱れは、年齢は関係なく10代や20代の方でも起こります。ターンオーバーが乱れる原因は、主に生活習慣の乱れ、不適切なスキンケア、紫外線や乾燥の3つが挙げられます。

肌の不調が気になる女性イメージ

──①生活習慣

生活習慣は、お肌をキレイに保つためにとても大切なものです。どんなに高いスキンケアを意識しても、生活習慣が悪ければ元も子もありません。

不規則な睡眠
睡眠中には成長ホルモンが分泌されます。今までは、22時から深夜の2時までが「お肌のゴールデンタイム」と言われていましたが、現在は入眠から3時間後に成長ホルモンが分泌されやすいと言われています。
ゴールデンタイムの睡眠が難しい場合でも、睡眠のリズム意識することでお肌のターンオーバーサイクルを整えることができます。

栄養バランスの偏り
私たちの体は、食べたもので出来上がっています。もちろん、お肌も例外ではありません。食べたものが悪ければお肌も健康になりません。お肌の健康を維持するためのビタミンB2、ビタミンB6といった栄養素が不足すると肌荒れやニキビなどを引き起こしやすくなります。

ストレス
ストレスは体にさまざまな不調をもたらしますが、肌も同様です。ストレスにより自律神経のバランスが崩れると、ターンオーバーが乱れる原因となります。またストレスにより男性ホルモンの分泌が増えることで皮脂量も増える傾向があります。

過剰なダイエット
極端にカロリー摂取を減らすダイエットをすると、肌に必要なビタミン類、ミネラル類、タンパク質といった成分が十分に摂取できず、パサつきの原因や正常なターンオーバーが崩れることになります。

たばこやアルコール
たばこは血管を収縮させ、血流を悪くしてしまいます。また、アルコールは利尿作用があるため、体の水分が不足しがちになり、結果としてターンオーバーが乱れる原因になります。

運動不足
運動不足になると、筋肉量が低下します。筋肉は基本的に血流を押し流す役割を持っていますが、運動不足になると、血の巡りが悪くなります。

──②間違ったスキンケア

スキンケアが原因で、ターンオーバーを乱れることになるのも忘れてはいけません。

洗顔する女性イメージ

洗顔やクレンジング不足
角質層まで押し出された古い皮膚のなかには、自然にはがれ落ちるものもあればそのまま残るものもあります。お肌に残ったものをそのままにしておくと、本来ははがれ落ちるべき皮膚もなかなかはがれません。十分な洗顔やクレンジングができていないと、角質が定着し毛穴の黒ずみの原因になります。

洗浄力の強い洗顔やクレンジングを使う
美肌のために毎日の汚れを落とすことが大切ですが、とはいえ角質を落としすぎるような強い洗顔やクレンジングも適切ではありません。なぜなら強い洗顔料はターンオーバーのサイクルが促進してしまうからです。過度な洗顔やクレンジングでお肌の水分を奪って乾燥させてしまうため、バリア機能が低下しかえって肌トラブルの原因となることも少なくありません。

ピーリング・ゴマージュのしすぎ
ピーリング・ゴマージュとは不要な角質を落とすスキンケアのことですが、こちらもやりすぎは厳禁です。過度にお肌へ刺激を与えることで、必要な角質まで落としてしまうだけでなく、刺激によって炎症が起こり、色素沈着が進んでしまいます。

──③紫外線や乾燥

外部からの刺激が原因となり、ターンオーバーの周期が乱れることもあります。例えば、紫外線を浴びたり乾燥したりすることも立派な外部刺激です。人は紫外線を浴びると炎症を起こし、次のダメージに備えメラニンを生成します。これが色素沈着したものがいわゆる「日焼け」の状態です。長く紫外線のダメージを浴び続けると、メラノサイトが刺激され、過剰にメラニンを生成することとなり、シミに繋がります。また、乾燥による刺激では、水分不足により、ターンオーバーが遅れることとなります。

ターンオーバーを整えるのに有効なケアは?

お肌のターンオーバーは、いくつもの原因によって乱れます。洗顔やクレンジング、睡眠や紫外線、乾燥など原因を挙げたらキリがありません。常日頃からしっかりとお肌のケアをして、ターンオーバーを正常化させることが大切です。

運動する女性イメージ

──生活習慣の見直しを行う

とくに、ターンオーバーに大きな影響をもたらすのは生活習慣です。紫外線は浴びる日もあればそこまで浴びない日もありますが、生活習慣はどうやっても私たちの日常から切り離すことはできません。

十分な睡眠を取る
睡眠時間だけでなく、睡眠の質も重要です。必要な睡眠時間は人によって違うので、一概に何時間と明言できませんが、少なくとも深夜12時前には寝て、7~8時ごろまでには起きましょう。特に、入眠から3~4時間には美肌に必要な成長ホルモンが出るとされています。途中で覚醒しないよう、寝る時は部屋を真っ暗にする、寝る前にスマホを見ないなど、入眠時の行動も意識してみるとよいでしょう。

ビタミンやタンパク質を積極的に摂る
お肌の健康を守るビタミンB2やビタミンB6は、ぜひ積極的に摂りましょう。2つの成分は肌荒れ用のビタミン剤にも必ず含まれているほど大事な成分です。ビタミンB2は卵や乳製品、ビタミンB6はささみ肉、さつまいも、バナナなどに多く含まれています。またタンパク質もお肌にとって大切な成分です。肌がタンパク質から作られているので、十分にタンパク質を摂取することで健康なお肌が作られます。

たばこやアルコールを控える
たばこは血流を悪くし、アルコールは水分を失わせます。また、たばこを吸うと、体内に侵入したニコチンやタールなどの有害物質を無害化するために、ビタミンCを大量に消費してしまいます。できるだけ、たばこもアルコールも控えるように心がけましょう。

ストレスをためこまない
自律神経の乱れがターンオーバーに影響を与えます。まずはリラックスできるよう、趣味や時間を取る、運動をするなどを意識するよよいでしょう。そのほか、瞑想やヨガなども一定の効果を得られます。

適度に運動をする
一日10分程度の軽い運動をすることでも簡単に血流を良くすることができます。まずは軽いウォーキング程度から身体を動かす習慣をつけるとよいでしょう。運動した後はセロトニンやドパミンの分泌も増えますので、ストレス発散にもつながります。

便秘を改善する
意外なことに、便秘もターンオーバーを乱れさせます。便秘になると、便の腐敗が進み、腸内にアンモニア、フェノールといった有害物質が滞留します。食物繊維や水分をこまめにとり、便通が良い状態を保ちましょう。

──しっかり落として優しいスキンケアを心掛ける

洗いすぎは良くありませんが、かといって洗わなすぎるのもお肌に良くありません。汚れや角質は落としつつ、必要なケアをしっかり行うことが大切です。ゴシゴシと力を入れて洗顔やクレンジング、ピーリングをしている場合は、やさしくお肌に触れることを意識してみて下さい。また、拭き取りクレンジングも要注意です。必要な角質を育てることが大切です。

クレンジングと洗顔はその日の汚れをその日のうちに落とすことが必要です。お肌にとって快適な状態を保ちましょう。メイクが薄い場合は洗顔だけでも構いませんが、メイクの濃さに合わせたクレンジングを意識していくと、なおよいでしょう。

──紫外線対策をしっかりと行う

紫外線は、夏だけでなく年間を通して降り注いでいます。5月や6月は真夏よりも紫外線が多いこともあります。また、冬であっても紫外線はゼロになりません。季節を問わず日焼け止めや帽子、日傘などを使ってケアをすることが大切です。夏ばかり活躍しがちな日焼け止めも、できるだけ毎日塗りましょう。

紫外線はお肌を乾燥させる働きもあるので、とくに水分量が少なくなりやすい生理前は、重点的なケアが必要です。乾燥を感じたら、しっとりタイプの化粧水に替えるなどの対策も行いましょう。乾燥肌に効果的な成分として「記事:乾燥肌の皮膚保湿剤 ヘパリン類似物質とは?」も参考にしてください。