肌本来の色を失わせ、色が濃くなってしまう原因はいくつかあります。
原因① 日焼け
まずは「日焼け」です。日焼けには種類があり、日焼けの原因である「紫外線」にも種類があります。それぞれ詳しく解説していきます。
■日焼けの種類
「日焼け」には、厳密に言うと2つの種類があります。
・サンバーン…皮膚が痛みを伴い、赤く腫れ上がる症状。皮膚のやけど
・サンタン…色が黒くなる症状。サンバーンを経てメラニンが増加する
■紫外線の種類
紫外線にも種類があります。地球上において私たちの肌に届くのは、次の2つの紫外線です。
・A波…肌の深層まで届いてダメージを与え、シワやたるみなど肌の老化を引きおこす
・B波…毒素が強く、肌に強く作用する。炎症、シミやソバカスの原因となるだけでなく、皮膚がんや免疫低下の原因にもなる
■紫外線は『光老化』の原因に
『光老化』という言葉があります。これは『自然老化』と違い、加齢だけによる自然なものでなく、紫外線(光)によって、いわば「自然な老化に上乗せされてしまう老化」のことです。たとえば、昔から日光を浴びる機会が比較的少なかった人は、高齢になってもシミやそばかすやシワが少なく、肌そのものも柔らかさを保っています。「日光=紫外線」を浴びたことによる老化現象は非常に多いため、たとえ美容に興味がないという方であっても、健康のために注意が必要なのです。
原因② メラニンの色素量
肌の中で「メラニン色素」という成分の量が増えると、肌の色が濃くなります。
■メラニン色素の働き
美容の観点では歓迎されないメラニン色素ですが、実は「紫外線から肌を守る」という非常に重要な役割を果たしています。肌の中で紫外線を吸収し、肌細胞がダメージを受けるのを防いでいるのです。もしメラニン色素が分泌されなければ、わずかな量の紫外線を浴びただけでも水ぶくれや炎症が起き、皮膚がんの発症率も格段に上がってしまいます。
■メラニン色素はどのように分泌される?
紫外線を浴びることにより、体内で肌を守ろうとする信号が発生します。それにより、「メラノサイト」というメラニン色素の工場のような細胞から、メラニン色素が分泌されます。なお、メラニン色素の発生までにはチロシナーゼの活性化や酸化など、もう少し複雑な流れがありますが、直接的な原因は「メラノサイトに刺激を与えてしまうこと」だと覚えておきましょう。
■役割を終えたメラニン色素は、本来は肌の外に排出されるもの
分泌されたメラニン色素は、肌のターンオーバー(新陳代謝)によって古い肌細胞とともに排出されます。しかし、以下のような状況ではうまく排出できなくなり、肌の中に残ってしまう現象が起こるのです。
・排出しきれない量のメラニン色素が分泌されている
・ターンオーバーのリズムが乱れる
・ターンオーバーの周期が長くなる
これらによって肌の表面に現れるのが「色素沈着」であり、シミということです。
原因③ 肌のくすみ
特にシミがあるわけではないのに、「全体的に肌の色が濃く見える」ことを「肌がくすんでいる」と表現することがあります。単純に個性として、肌の色が濃いだけであれば問題はありません。しかし、よく見ると肌が乾燥していたりキメが乱れていたりする場合、「透明感がない」ということであり、よい状態とは言えません。くすみの原因は次の通りです。
・乾燥によるくすみ…肌細胞が水分を失い、細胞と細胞の間にすきまができてしまう状態
・メラニンによるくすみ…紫外線を浴びることによって分泌されたメラニン色素が、排出しきれていない状態
・血行不良によるくすみ…血行不良により肌に水分や栄養素が行き渡らず、不健康になってしまう状態
・糖化によるくすみ…透明であるはずのコラーゲンが「糖化」(※)され、黄色や褐色になってしまう状態
・角質によるくすみ…弾力と透明感を失った古い角質が、ターンオーバーで排出されず残ってしまう状態
※糖化とは
余分に摂取し体内に残った「糖質」が、たんぱく質などと結びつき、細胞の質を劣化させてしまう現象。「メイラード反応」とも呼ばれています。