──そもそも「五月病」とは、どういった症状なのでしょうか?
まずお話しておきたいことは、医学的には「五月病」というのは正式な病名ではありません。
春先は、働いている方にとっては配置転換や転勤、新年度の始まりに伴う業務の変化など、環境が変化することが多いですよね。新生活への期待やワクワク感も覚えたりしますが、一方で環境の変化により心が張り詰めた状態になり、知らず知らずのうちに心身に負担がかかりがちになるものです。近年は女性も責任ある業務や役職を任されるようになっており、やりがいとともに仕事や職場での負荷が高まってきているように感じます。こういった状況により、倦怠感や不安感が生じる状態が「五月病」と表現されているわけですが、正式な病名としては鬱病や適応障害、パニック障害などに該当するケースも少なくありません。
また、女性特有の原因としてPMS(月経前症候群)などの影響を受けることもあります。イライラ感がつのることで、周囲の人間にキツくあたってしまったり、さらにそのことを後悔して気持ちが落ち込んだりすることも多いのです。
──どんな自覚症状があるときに、注意すべきでしょうか?
多くのメンタル不全について、まず症状としてあらわれがちなのが「不眠」。身体は疲れているのに眠れない。また、寝たとしても何回も起きてしまい、朝になっても疲れが取れない、といった症状です。
日中でも「ランチに何を食べようかな?」と思える気分になれず、何を食べたらいいか思いつかない、食欲がない、でもとりあえず食べなきゃ、など、食に対する意欲が薄らいでくることもあります。
それ以外でも、以前なら1時間でできた業務が2時間かかってもうまくいかない、集中力が落ちてくる、仕事のイージーミスが増えた、といった現象などもあります。休日はアクティブに過ごしていたのに、やる気がおきずダラダラと過ごしてしまう、といった場合も要注意。心の緊張による筋肉のこわばりのせいか、頭痛や肩こりの症状が悪化する、といったケースもあります。心の健康と身体の健康は、密接に結びついているのです。