では、皮膚の赤みにはどのように対応したらよいのでしょうか。
脂漏性皮膚炎からくる肌の赤み
「脂漏性皮膚炎」が原因の赤みの場合についてご説明します。
■脂漏性皮膚炎とは
皮脂の分泌が活発な場所から「フケ」が出て、赤みやかゆみを伴う皮膚炎です。髪の毛の生え際、耳の後ろ、鼻の脇などが多いのですが、顔全体に出る場合もあります。女性よりは男性に多い症状です。
■有効な対処法
まずは皮膚科を受診しましょう。脂漏性皮膚炎の原因はいくつかありますが、近年はマラセチアというカビ(真菌)の一種が原因であるという説が有力です。マラセチアが原因である場合、自然治癒は難しいものになります。症状が軽いうちにきちんと薬を使ったほうが、早く改善します。
なお、ホルモンバランスの崩れや肌の洗いすぎ、健康的ではない食事による腸内環境の乱れも脂漏性皮膚炎を起こす要因とされています。受診後は生活リズムを崩さないように気を付け、脂漏性皮膚炎を起こしている部分はあまり刺激しないよう、最低限の洗浄で済ませるようにしましょう。
ニキビによる肌の赤み
「ニキビ」が原因の赤みの場合についてご説明します。
■ニキビが原因による肌の赤みとは
ニキビとは、毛穴に皮脂が溜まり、そこに「アクネ菌」という菌が繁殖して炎症を起こすことによりできる発疹のことです。毛穴周辺の肌は炎症のために赤くなります。また、炎症の度合いによってはかなり広い範囲まで赤くなります。
■有効な対処法
肌を清潔にし、十分な保湿して、膿がでやすいよう肌を柔らかくしておく必要があります。日常的なケアで改善しない場合は早めに皮膚科を受診して、ニキビ用の薬を利用することを相談してみましょう。なお、洗いすぎると肌を守るために再び皮脂が分泌されてしまいますので、気を付けてください。
ニキビがさまざまな場所に繰り返しできるのは、皮脂の分泌量が多いことが問題です。皮脂の分泌量はホルモンバランスの乱れが原因であることも多いため、栄養バランスの良い食事を摂り、十分な睡眠時間を取るなどして生活を整えることから始めましょう。
「膿が溜まって白くなったら自分で膿を出す」という方もいますが、刺激の与え方によっては色素が沈着し、ニキビ跡として残ってしまいます。時間をかければ自然に回復しますが、なかなか治らない場合には皮膚科できちんとした治療を受けるようにしましょう。
その他、病気が原因で肌が赤くなる場合
「酒さ」(しゅさ)や光線過敏性皮膚症、アトピー性皮膚炎など病気が原因で肌が赤くなるケースもあります。
■酒さ
鼻を含む顔の中央一帯が、赤く腫れあがる病気です。はっきりした原因は不明ですが、発症範囲が広いことと、30~50歳で症状が強く出ることで「普通のニキビとは違う」と判断できることもあります。ただの大人のニキビとも捉えられることがあるため、ニキビの症状がひどく長期間続く場合には、皮膚科を受診してみてください。症状によって治療方法は異なりますが、内服用抗菌薬の投与やレーザーでの治療が必要になる症状もあります。
■光線過敏性皮膚症
「日光アレルギー」とも呼ばれます。日光などの普通の光で、皮膚になんらかの症状が現れる病気です。ただし、光線過敏性皮膚症にはさまざまな種類があり、別の症状とも合わせてどの病名であるかを確定し、対処していく必要があります。たとえば、遺伝性の場合は「色素性乾皮症」、アレルギー性の場合は「光接触皮膚炎」や「光線過敏型薬疹」などに分類されます。中高年になってから発症する「晩年性ポルフィリン症」などもあり、発症に年齢は関係ありません。日光を受けた後、肌に強い違和感がある場合には、できるだけ早く皮膚科を受診するようにしてください。
■アトピー性皮膚炎
アレルギー体質の人や乾燥肌の人、肌の細菌バランスが崩れている人がなりやすい病気です。免疫も絡むものですので、完全に治癒することは難しく、症状が強く出ないよう上手に付き合っていくことが重要なポイントとなります。
・炎症が強く出る場合には、薬物療法で素早く症状を抑える
・肌バリア機能を保つため、普段から保湿を重視したスキンケアを続ける
・アレルギーの原因となるものを生活から減らす
この3点で、日常生活に支障が出ないよう症状をコントロールするという考えが主流となっています。