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「セラミドとは?
肌の潤いを守る保湿成分」

佐藤薫先生プロフィール

佐藤 薫先生

かおるクリニック院長。日本形成外科学会認定専門医。
昭和大学医学部卒業の後、昭和大学藤が丘病院形成外科・麻酔科、昭和大学形成外科、埼玉県立小児医療センター、虎の門病院形成外科などを経て、自身のクリニックを開業。経験に基づく知識や技術をもとに最新医療を取り入れ、美容皮膚科・形成外科医としてひとりひとりの肌の悩みに応じた治療法を提案。スキンケアの指導にも力を入れている。

潤いケアの重要な成分として知られている「セラミド」。「なんだかお肌に良いらしい」ということは知っていても、なぜお肌に良いのかという理由まで詳しく知っている方は多くないはず。

また、セラミドには天然セラミド、ヒト型セラミド、植物性セラミド、疑似セラミドなど、いくつか種類が存在し、どれが保湿ケアに効果的なのか分かりにくいですね。ここでは、セラミドの効果、そしてセラミドの種類とそれぞれの特徴・違い、選び方について徹底解説します。

肌のバリア機能の仕組み

私たちの皮膚は、表面から順番に、表皮・真皮・皮下組織の三層で成り立っています。中でも、表皮のさらに一番表面にあり最も外界と接している「角質層」は、「肌のバリア機能」を担っており、健やかな肌を保つためにとても重要です。

肌のバリア機能の解説図

セラミドは「角質層」に存在しており、肌のバリア機能に大きくかかわっています。まずは、肌のバリア機能の仕組みについて知っておきましょう。

──バリア機能とは?

バリア機能とは、肌の角質層が乾燥や外部の刺激・異物の侵入から肌を守り、肌の中にある水分が蒸発しないように潤いを保持する機能です。外からの刺激でかゆみを覚えたり、赤くなるのは、バリア機能の低下が原因です。いわゆる敏感肌や乾燥肌の方はこのバリア機能が低下していると考えてよいでしょう。

環境変化や生理等の原因により、肌の角質層のはたらきが衰えると、肌のターンオーバーが乱れ、未熟で不規則な角質層が形成されて、角質層同士に隙間ができてしまいます。お肌が乾燥すると赤みやかゆみが出るのは、この隙間に異物が侵入し、ダメージがお肌に届きやすい状態になっているからです。

──正常のバリア機能を維持するには

バリア機能が正常な状態、つまり潤いが十分にあって、角質層の細胞がキレイに整列している状態は、外部からの刺激を防げる健康なお肌だと言えます。お肌の見た目もみずみずしく、肌本来の力でうるおっている様子が外から見ても分かります。

このように、正常なバリア機能を維持するためには、一体どのようなメカニズムがあるのでしょうか?それは、三大保湿因子と呼ばれる「天然保湿因子(てんねんほしついんし)」「細胞間脂質(さいぼうかんししつ)」「皮脂膜(ひしまく)」が正常な状態を保てているからです。

三大保湿因子とは

天然保湿因子(NMF)
約半分がアミノ酸から構成されています。角質細胞内にあり角質層の水分を保持する役割があります。

細胞間脂質
角層細胞同士の間をつなぐ脂質で、主にセラミド、脂肪酸、コレステロールで構成されています。細胞と細胞を接着するとともに、水分の蒸発を防ぐ働きがあります。

皮脂膜
肌の表面から蒸発する水分を逃がさず留めておくクリームの役割があります。肌表面を滑らかに整え、外部刺激から肌を保護する役割も担っています。


正常なお肌と乾燥したお肌の比較図

角質層の水分を保持する「天然保湿因子」と、細胞と細胞を接着する「細胞間脂質」がきちんと機能することで、角質層内の細胞が隙間なく綺麗に並びます。さらに、肌表面の「皮脂膜」によって水分は肌内部にとどめられ、肌は保護された状態を維持します。三大保湿因子によるバリア機能によって、肌の内部は刺激から守られているのです。

──バリア機能が崩れると

バリア機能が低下すると、外部からの刺激を受けやすくなるため、少しの刺激でも肌が荒れるようになります。たとえば赤みやかゆみが出たり、ちょっとお肌をこすっただけでも肌がヒリついたりすることもあります。この他にも生理前や季節の変わり目などに吹き出物がでやすいのもバリア機能の低下に関連しています。

敏感肌や乾燥肌と呼ばれる状態にある人は、特にこのバリア機能が崩れていることが考えられます。敏感肌は医学的に明確な定義があるわけではありませんが、一般的にお肌の過敏性が上昇して刺激を感じやすくなっている状態を指します。

乾燥肌はお肌が乾燥してつっぱり感が出る、ひびわれ、あかぎれ、フケなど乾燥によるトラブルが起きる状態を指し、「ドライスキン」と呼ばれることもあります。

敏感肌と乾燥肌は、どちらも外部の刺激を受けやすい状態になっています。そのため赤みやかゆみが出るだけにとどまらず、放置することで乾燥性皮膚炎などの皮膚疾患に発展する可能性もあります。肌の異常を感じた時点で、早急なケアやお手入れが必要です。

健やかな肌を保つ「セラミド」の役割

肌のバリア機能は、肌の美しさを保つ上で、とても重要な役割を果たしているということが分かりました。そんなバリア機能と密接な関わりを持っている「セラミド」ですが、一体どのような役割を持っているのでしょうか?

ここからは、セラミドの役割やセラミドが不足してしまうと肌はどうなってしまうのかについて、詳しく解説していきます。

──セラミドとは?

セラミドとは、角質層に存在する潤い成分で、細胞と細胞の間にある水分を抱え込んで逃さないよう保持する働きを持っています。潤い成分として注目されることが多いものの、細胞の増殖や分化にも関わっていることが分かっています。バリア機能とも関係の深い細胞間脂質のうち、約半分以上をこのセラミドが占めています。つまりセラミドのはたらきこそがバリア機能の主役だと言えるでしょう。

お肌に十分な量のセラミドがある状態だと、キメが整って、奥から潤いに満ちたふっくらとしたお肌になります。そのため乾燥しにくく、バリア機能もしっかり働いた状態になります。さらにはお肌がふっくらすることで、毛穴が目立ちにくくなる効果もあります。

潤い成分のセラミド解説図

しかしセラミドは、残念ながら年齢とともに合成する力が減少することが研究によって明らかになっています。50代では、20代の約半分にまでセラミドが減少すると言われています。50代以降も何も対処しなければ加齢とともにセラミドは減少していき、潤いがなくなっていきます。

特に、敏感肌や乾燥肌、アトピー肌の方は、セラミドを作り出すはたらきが弱いため、バリア機能を高めるためにも、日常的な保湿ケアがとても重要です。

──肌の乾燥はセラミド流出の原因に

セラミドが減る原因には加齢もありますが、お肌の乾燥もセラミドが減ってしまう原因になります。例えば、洗顔方法やスキンケアの方法を間違えていると、どんどん乾燥が悪化しセラミドが流出してしまいます。

セラミドは細胞間脂質の半分以上を占めることから、お肌にとって重要な保湿成分として知られています。怖いのは乾燥の悪循環に陥ってしまうことです。乾燥によってセラミドが流出することでお肌に潤いが保てなくなり、さらにお肌が乾燥、そしてセラミドが流出するという流れができてしまいます。

お肌をゴシゴシと強くこするような洗顔方法は厳禁です。刺激によって、バリア機能が乱れてしまい、セラミドが流出しやすい状態になるからです。また洗浄力が強い洗顔料にも注意しましょう。必要以上にお肌の皮脂を取りすぎると、皮脂膜が不足し水分が蒸発しやすい状態になってしまいます。

また、洗顔後のスキンケアもお肌の状態に合ったものを使わないといけません。例えば、乾燥肌の方は、乳液や化粧水で保湿します。反対に、脂性肌(オイリー肌)の方は、あぶらとり紙などで必要な油分をとりすぎず、油分の少ない基礎化粧品を使うなどして対策をしましょう。間違った洗顔やスキンケアはお肌の乾燥を招き、セラミドを流出させて乾燥の悪循環となってしまうので気をつけましょう。

セラミド化粧品の賢い選び方

年齢やお肌の乾燥とともに減っていくセラミドは、外から補給してあげることが大切です。セラミドがお肌を健康にし、潤いを与える成分として注目されていることからも、セラミド配合の化粧品は多く存在します。しかしセラミドにもいくつか種類があるので、セラミド配合ならどの化粧品でも良いわけではありません。ここでは、さまざまなセラミドの種類とその違いについて解説します。

化粧品を選んでいる女性イメージ

──天然セラミド・ヒト型(バイオ)セラミドが配合されたものを選ぶ

セラミドには種類があり、「天然セラミド」「ヒト型セラミド」「植物性セラミド」「疑似セラミド」の4種類に分かれます。それぞれ特徴が異なるため、セラミド化粧品を選ぶ際には、どのセラミドが配合されているのかを確認しておくとよいでしょう。

セラミドの種類と特徴は以下の通りです。

セラミドの種類

天然セラミド
哺乳類由来のセラミドで、皮膚への浸透性がよく、高い保湿効果が期待できる。(ビオセラミド、セレブロシドなど)

ヒト型(バイオ)セラミド
人の肌にあるセラミドに似せて作られたもの。酵母などから作られる。保湿効果や浸透力に優れている。(セラミド2、セラミド3など)

植物性セラミド
米ぬかなどから抽出された植物由来のもの。人の肌にあるセラミドとは一部構造が違うため、天然・ヒト型に比べればやや浸透力は下がるが保湿力はある。(米ヌカスフィンゴ糖脂質など)

疑似セラミド
セラミドに似せて化学的に合成したセラミド。合成類似セラミドとも呼ばれ、安価だが天然・ヒト型に比べて効果は劣る。(ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミドなど)

皮膚への浸透性がよく高い保湿効果が期待できる「天然セラミド」や人の肌と相性がよく高い保湿効果が期待できる「ヒト型セラミド」が配合されているものがおすすめです。

「天然セラミド」や「ヒト型セラミド」はあくまでもセラミドの種類であり、表示名とは異なるため注意しましょう。成分表には「ビオセラミド」「セラミド2」などが掲載されているため、それがどのセラミドの種類にあたるのか調べる必要があります。

──保湿力を求めるなら「天然セラミド」を選びたい

しかし、保湿力や浸透力に優れている天然セラミドやヒト型セラミドは、一般に高価とされています。特に天然セラミドは価格がどうしても高くなってしまいます。そのためリーズナブルな価格帯の化粧品などの場合、天然セラミドやヒト型セラミドではなく、合成して作られた類似セラミドが配合されているケースも少なくありません。

疑似セラミドはセラミドと似たような構造をしているものの、保湿力や浸透力はあまり高くありません。成分表をよく確認し購入するようにしましょう。

──成分表の前方に「セラミド」が記載されているものを選ぶ

セラミドの高い保湿効果によってバリア機能を改善し、健康な肌を保ちたいと考えるなら、セラミド配合の化粧品がおすすめです。ただしセラミド配合と書いていても少量しか含まれていないものもあり注意が必要です。購入する際はパッケージをチェックし、どの位置にセラミドが書かれているか確認しましょう。平成14年に厚生労働省が発表している「化粧品の全成分表示記載のガイドライン(改訂)」によれば、成分の記載順序は、配合量の多い順に記載することと規定されています。

<参考:https://www.jcia.org/user/common/download/business/guideline/hlgl.pdf>

つまり前方にあるほど、セラミドの配合量が多く、効果が期待できます。ただし、厚生省の規定によれば、1%以下の成分については順不同の記載が許可されています。わずか数でもセラミドを配合していれば「セラミド配合」と言えてしまうため、配合されているかどうかに加え、含有量にも着目しましょう。そうすることでお肌の潤いを守る大切なセラミドをしっかり補給できる化粧品を選べるようになるでしょう。

肌乾燥にはセラミド以外にも、ヘパリン類似なども効果的です。「記事:乾燥肌の皮膚保湿剤 ヘパリン類似物質とは?」についても参考にしてください。